VARがあれば確実に取り消されたゴール 元仏代表DFが振り返るアンリの“伝説ハンド”「主審がハンドを見逃した」

当時はアイルランドの選手も猛抗議で大騒ぎに photo/Getty Images

W杯出場を懸けた一戦で起きた疑惑のプレイ

現在はビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)がサッカー界の常識となり、誤審はかなり減った。オフサイド、ハンド、PKの判定で間違いが起こるケースは少なく、審判の目を欺くのはかなり難しくなった。

すでに現役を退いている選手の中には、自分たちの時代にもVARがあればと思う人もいるかもしれない。例えば、今から15年前の2009年に行われた2010ワールドカップ欧州予選・プレイオフのフランスVSアイルランドだ。

当時のプレイオフはホーム&アウェイ形式で開催されており、第1戦はフランスがアウェイで1-0と勝利を収めていた。迎えた2ndレグは逆にアイルランドがアウェイで先制し、2戦合計は1-1の同点に。試合はそのまま延長に突入したのだが、疑惑のプレイが起きたのは103分のことだ。

フランスがフリーキックからボールをゴール前へ送ると、こぼれ球を拾ったFWティエリ・アンリが明らかに手でボールにタッチ。そこから中へ折り返し、DFウィリアム・ギャラスが頭で決めてフランスがワールドカップ出場権を勝ち取った。

これは当時かなり議論を呼んだプレイで、アイルランドの選手たちは猛抗議していた。VARがない当時は判定が覆らなかったのだが、当時ゴールを決めたギャラス本人は今回このように振り返っている。

「試合が終わってロッカールームに戻ったときにそれを知ったんだ。ピッチ上では(アンリの)ハンドだとは知らなかった。ロッカールームに戻って喜んでいたとき、主審がハンドを見逃したことを聞いた。あれは主審のミスであり、それが今のサッカー界でより多くのテクノロジーが導入されている理由でもある。通常なら、あのプレイはVARでチェックされただろう。1人のファンとして試合を観戦していると、審判がミスをしたり、必要なときにテクノロジーを使用しなかったりする際にイライラすることはあるね」(『Get French Football News』より)。

テクノロジーがなかった時代からこそのドラマとも言えるが、アイルランドにとってはあり得ない判定だっただろう。

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