[西岡明彦]後任なかなか見つからず…… ユナイテッドはテン・ハーグ留任へ

FA杯を制したキャプテンのB・フェルナンデス(左)とテン・ハーグ photo/Getty Images

プレミア最強ガイド #115

 プレミアリーグが閉幕し、来季に向けた選手編成が活況を迎える中、遅れを取っている印象があるのがマンチェスター・ユナイテッドです。5月25日に行われたマンチェスター・シティ戦に勝利し、FA杯のタイトルを獲得すると同時に来季のヨーロッパリーグ出場権を得たエリック・テン・ハーグ監督でしたが、続投要請を待ち続ける苦悩の日々となりました。

 昨年12月にユナイテッドの共同オーナーに就任したサー・ジム・ラトクリフは、プレミアリーグ史上ワーストとなる8位で終えたチームを改革するべく、今月に入り指揮官候補との面談を続けていました。テン・ハーグ監督と別れを告げることを前提に……。

 当初は元チェルシー指揮官のグレアム・ポッターをリストアップしたものの実績不足を理由に役員会議で総意に至らず白紙に。次いでイングランド代表ガレス・サウスゲイト監督に興味を示しましたが、EURO2024決勝翌日にチームが始動すること、またイングランド協会との契約が年内いっぱいまであることがネックとなり見送りに。さらに、フランス・モナコで休暇を取っている元バイエルン指揮官トーマス・トゥヘルにコンタクトを取り接触しましたが、1年間の休養宣言を告げられ就任要請を断念する事態に。キーラン・マッケナにもアクションしましたが、現所属イプスウィッチとの契約を4年延長したことで、かつてコーチを務めていたクラブに復帰する可能性も消滅してしまいました。最後に候補として名前が報じられたマウリシオ・ポチェッティーノに関しては、ライバルでもあるチェルシーでの職を解任された人材にオファーするのはプライドが許さないということで実現しませんでした。

 FA杯決勝前には、シティ戦の結果がどのようなものになろうともテン・ハーグ体制は終焉を迎えると報じられていましたが、契約解除を撤回し指揮官続投という形で落ち着いたのでした。シーズン最終戦のシティ戦のパフォーマンスが高評価だったことも一因ですが、MFコビー・メイヌーやFWアレハンドロ・ガルナチョといった19歳の若手選手の成長を促したことも査定を上げることに繋がりました。また、GKアンドレ・オナナやFWラスムス・ホイルンド、MFメイソン・マウントといった主力として活躍が期待された選手の負傷離脱があったこともエクスキューズできる要因でした。

 今夏、指揮官人事では迷走しましたが、世界屈指の人気クラブであり潤沢な資金力を誇るクラブですから、間違いなく魅力的な選手層を編成してくれるはずです。新シーズンのマンチェスター・ユナイテッドの完全復活に期待しています。


文/西岡 明彦

※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第294号、6月15日配信の記事より転載

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