スペインから消えるポゼッション率へのこだわり “46%”の支配率でクロアチアを粉砕した新時代の強み

クロアチアを撃破したスペイン photo/Getty Images

今はサイドを中心としたスピーディーな戦いが武器に

EURO2024グループステージ初戦でクロアチア代表を3-0で粉砕したスペイン代表。

以前よりスペインにはティキ・タカのイメージが根付いており、常にボールを支配している姿が印象的だった。

しかし、今のチームはポゼッション率にあまりこだわっていない。今回のクロアチア戦ではポゼッション率が46%となっており、ボールを持っている時間そのものはクロアチアの方が長かったのだ。

スペイン代表を指揮するルイス・デ・ラ・フエンテは、今のチームに別の強みがあると強調する。その1つがスピードで、右ウイングには16歳のラミン・ヤマル、左には21歳のニコ・ウィリアムズと、若くて突破力のあるアタッカーがいる。シンプルに彼らを活かすスピーディーな攻撃の方が今のスペインには合っているとも言える。

「我々はクロアチア戦のように相手を驚かせることができるチームだ。結果には満足しているし、うまくやったと思う。今の我々のようにスピードのあるチームならば、それほどボールを保持する必要はないということを示しているね」(『ESPN』より)。

クロアチア戦でゴールを決めたMFファビアン・ルイスも「重要なのは勝つことと良いプレイをすることであり、ボール保持ではない」とコメントしていて、スペインのスタイルは時代とともに変化しつつある。

かつて黄金期を築いたスペインはシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、セルヒオ・ブスケッツら圧倒的なテクニックとゲームビジョンを誇るMFたちで中盤を支配しており、完成度は極めて高かった。あのチームをもう一度作りたくなるものだが、シャビやイニエスタは天才だ。あのサッカーをコピーするのはほとんど不可能で、ティキ・タカとは異なるスタイルに取り組む必要があったのだろう。

今のスペインは若い選手を軸にスタイルが変わりつつあり、ここから新時代を築く戦いだ。

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