ポルトガルが土壇場で逆転勝利! チェコの堅守に最後まで苦しめられた優勝候補の初戦

左足を振りき決勝ゴール photo/Getty Images

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主役は21歳の新鋭

グループF・第1戦
ポルトガル 2-1 チェコ

2大会ぶりのタイトル獲得を目指すポルトガルと過去に準優勝の経験があるチェコが相まみえた。

ポルトガルはエースのクリスティアーノ・ロナウドが先発。中盤にはブルーノ・フェルナンデス、ベルナルド・シウバ、ビティーニャなど盤石の布陣で臨み、チェコは国内の強豪クラブのスラヴィア・プラハから11人を招集し、守備の連携が強固なメンバーで挑んだ。
開始からポルトガルが主導権を握る展開が続く。対するチェコは[3-5-2]の布陣で守備の時は5バックへと変形するスタイル。引いて守り、カウンターを徹底する戦術だ。

そんな中、ポルトガルが初めて迎えたチャンスは11分だった。左に張ったラファエル・レオンがドリブル突破でペナルティエリア内に深く侵入し、クロスを上げる。しかし中に入ってくる味方が間に合わず、ボールはラインを割ってしまう。

その後、18分にロナウドとフェルナンデスが連続で右からクロスをあげるが、いずれもDFに跳ね返され、21分には痺れを切らしたようにルベン・ディアスがペナルティエリア外からミドルシュートを放つが、これもチェコの堅い守備にブロックされてしまう。そして23分にフェルナンデスの不意をついた強烈な無回転シュートがチェコゴールを脅かすも、わずかに枠の上を通過。チェコは一瞬、肝を冷やす場面となった。

ただポルトガルの攻勢は一切止まらない。25分にチェコがカウンターを仕掛けるも、それを奪い返し逆カウンター。フェルナンデスが3人になった相手DFの隙をつき、右サイドを駆け上がり、素早く中に走り込んだレオンにグランダークロスを送る。しかしレオンの長い足を目一杯伸ばしてもあと少し届かず、この攻撃も失敗に終わる。また31分にも大きなチャンスが訪れる。5人いるチェコの最終ラインの隙間を見つけ、フェルナンデスからロナウドへの鋭いスルーパスが通る。GKと1対1の状況になったが、ロナウドのシュートが好セーブに阻まれる。

こうしてポルトガルがボールを保持しては、一瞬の隙をついてチェコの守備を網をかい潜る一方、チェコは愚直にカウンター狙いという構図が続いていく。ロナウドがシュートフェイントからヒールパスを試みたり、シザーズを織り交ぜ撹乱するも、チェコのディフェンスは崩れない。すると37分にチェコが右から攻め上がり、シンプルに上げたクロスがパトリック・シックの頭に合い、鋭いヘディングシュートとなった。ボールは枠外へと飛んだが、この試合初めてポルトガルのゴールを脅かした。

前半終了間際の45分には、ペナルティエリア内の右側でDFを背にしてボールを受けたロナウドが、振り返り様にシュートを放つ。だがこれもGKが弾き、得点が奪えない。結局前半は0-0のまま、折り返した。

後半が始まるとポルトガルに少しの変化が起こる。DFのディオゴ・ダロトが高い位置を取り、右サイドからの攻めを意図的に増やした。左サイドはジョアン・カンセロが高い位置を取り、ヌーノ・メンデスがCBの列に加わった。46分にはそのダロトが、ペナルティエリア近くから左足で果敢にシュートを放つが、枠を外れてしまう。51分にも、シウバが右からカットインしてシュートを放つが、これも枠外に飛ぶ。

その後も、ポルトガルの主導権は変わらない。ただポジション変更の影響からか、カンセロ、メンデス、ルベン・ディアスのパスの精度が悪くなり、凡ミスを時折、露呈し始める。疲れからか焦りからか、噛み合わない攻撃も増えてくる。

それでも54分には、シンプルに右からクロスを上げ、ロナウドが高さで競り勝ってヘディングシュートを放つ。これはDFの寄せの圧力もあり、紙一重でゴールが奪えなかった。崩せないならばと、ゴール正面の良い位置でファールを誘いフリーキックを獲得。キッカーはロナウド。インフロントで狙うもGK正面。

数分おきに好機を作りながらも、ゴールが遠いポルトガル。すると62分、チェコが一瞬の隙をついて攻め上がる。右からのクロスをポルトガルDFがクリアした後、さらに左からクロスを上げる。それ再びクリアするがセカンドボールはチェコがしぶとく拾う。そしてペナルティアーク付近にいたルカシュ・プロボドにボールが渡ると、ダイレクトでシュートを放ち、これが鋭くカーブを描きながらゴール左隅に決まる。なんと劣勢だったチェコが均衡を破る波乱な展開が起こる。

その直後、ポルトガルはレオンにかえてジョタを投入。またダロトをゴンサロ・イナシオにかえる。そしてメンデスを再び一列上げ、カンセロを右にポジションを変更する。するとこれが功を奏す。69分にビティーニャのクロスを左に上がっていたメンデスがヘディングで中に折り返すと、GKが弾き、それがチェコDFに当たりボールは無情にもゴールへと吸い込まれてしまう。ポルトガルが思わぬ形で同点に追いつくと、ロナウドが急いでボールを抱え、センターサークルへ向かう。

ただ追いつかれたチェコも勝利を諦めていない。81分に素早くスローインからリスタートし、右サイドを抜け出すとペナルティエリア中央でもつれ、そのこぼれ球にソウチェクが反応しシュート。しかしわずかに右に外れ、頭を抱える。反対にポルトガルも粘り強く攻め続ける。86分、ロナウドのヘディングシュートがポストに当たり、その跳ね返りをジョタがヘディングで反応し、ゴールへと押し込む。その瞬間、歓喜に沸いたポルトガルイレブンだったが、これがVARでオフサイド判定に。ロナウドの肩が僅かに出ていたことで取り消されてしまう。

このまま引き分けかと思われるなか、ポルトガルは最後の賭けに出る。89分にビティーニャをかえてチコ・コンセイソンを、カンセロにかえてペドロ・ネトを投入し、攻撃に勢いを与える。そして、この白熱の戦いには、最後にドラマが隠されていた。アディショナルタイム2分、かわったばかりのネトがうまく1人をかわし、ペナルティエリア左からパスを送ると、これをチェコDFが止めにかかるも股の間から後ろにこぼれ、コンセイソンの目の前に。21歳の彼がそれを左足で振り抜くとボールは、飛びついたGKの下を通過し得点。土壇場での逆転ゴールとなった。

試合はそのまま終了。ロナウドが真っ先にコンセイソンに近寄り、熱い抱擁を交わし、喜びを分かち合ったシーンがビジョンに映し出された。堅い守りに苦しんだポルトガルが最後に優勝候補の意地を見せつけた試合だった。


[スコア]
ポルトガル 2−1 チェコ


[得点者]
ポルトガル
24分 OG
92分 チコ・コンセイソン


チェコ
62分 ルカシュ・プロボド



[ラインナップ]

ポルトガル

監督:ロベルト・マルティネス

GK
ディオゴ・コスタ(ポルト)

DF
ぺぺ(FCポルト)
ルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)
ディオゴ・ダロト(マンチェスター・ユナイテッド)
ヌーノ・メンデス(パリ・サンジェルマン)
ジョアン・カンセロ(バルセロナ)

MF
ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)
ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)
ビティーニャ(パリ・サンジェルマン)

FW
クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)
ラファエル・レオン(ACミラン)

交代出場・退場
63分 レオン→ディオゴ・ジョタ(リヴァプール)
63分 ダロト→ゴンサロ・イナシオ(スポルティングCP)
90分 メンデス→ペドロ・ネト(ウォルヴァーハンプトン)
90分 ビティーニャ→チコ・コンセイソン(FCポルト)
90分 カンセロ→ネルソン・セメド(ウォルバーハンプトン)

アルバニア

監督:イワン・ハシェック

GK
インジフ・スタニェク(スラヴィア・プラハ)

DF
ロビン・フラナーチ(ヴィクトリア・プルゼニ)
ラディスラフ・クレイッチ(スラヴィア・プラハ)
ブラディミール・ツォウファル(ウェストハム)
ダビド・ドゥデーラ(スラヴィア・プラハ)
トマシュ・ホレシュ(スラヴィア・プラハ)

MF
ルカシュ・プロボド(スラヴィア・プラハ)
トマーシュ・ソーチェク(ウェストハム)
パベル・シュルツ(ヴィクトリア・プルゼニ)

FW
パトリック・シック(レヴァークーゼン)
ヤン・クフタ(スパルタ・プラハ)

交代出場・退場
60分 シック→モジミル・キティル(スラヴィア・プラハ)
60分 クフタ→オンドジェイ・リングル(フェイエノールト)
79分 シュルツ→ペトル・シェブチーク(スラヴィア・プラハ)
79分 プロボド→アントニン・バラーク(フィオレンティーナ)
93分 ホレシュ→トマーシュ・ホリー(ヴィクトリア・プルゼニ)


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