英雄ゲオルゲ・ハジが目指すルーマニア復活への道 続々とA代表選手を生み出すアカデミーの仕掛け

ルーマニアは初戦でウクライナを3発粉砕 photo/Getty Images

再び国際大会の決勝トーナメントへ

EURO2024グループステージ初戦でウクライナ代表を3-0で撃破し、世界に衝撃を与えたルーマニア代表。

ルーマニアといえば、1994ワールドカップ・アメリカ大会のベスト8、EURO2000のベスト8入りが印象的で、当時の世代にはルーマニア史上最高の選手とも言われるゲオルゲ・ハジ、フローリン・ラドチョウ、ゲオルゲ・ポペスクらを擁して快進撃を見せた。

しかし、それ以降は低迷。21世紀に入ってからは1度もワールドカップ出場がなく、EUROも2008、2016年大会を0勝で終えている。それだけに今大会でのウクライナ戦勝利には特別な意味がある。
ゲオルゲ・ハジの世代は昔のことだが、その影響力はまだまだ落ちていない。むしろゲオルゲ・ハジに関しては引退してからの方がルーマニアサッカー界に与えている影響が大きいと言える。

その1つが『ハジ・フットボール・アカデミー』の存在で、今回の代表チームでも息子のMFヤニス・ハジ、MFラズバン・マリン、MFアレグザンドゥル・チカルダウ、MFフロリネル・コマン、FWデニス・ドラグシュら複数のアカデミーの出身者がいるのだ。

さらに今から5年前の2019年に行われたU-21欧州選手権にてルーマニアはベスト4に入る大躍進を見せているが、そこにはハジ・フットボール・アカデミーの出身者が10人もいた。

『sky Sport』によると、ハジは自身の引退後に代表チームの成績が低迷したことに大きなショックを受けたようで、それがアカデミー創設の原動力になったという。時間はかかったかもしれないが、今回のEURO2024での勝利はその成果の1つと言える。

ハジはEURO2024のメンバーにアカデミー出身者が複数いることについて、次のようにコメントしている。

「喜びであり、誇りだ。ルーマニアの選手には才能があるが、その原石を見つけ出し、チャンスと成長の場を与える必要があった。現在では照明付きのグラウンドも11か所設けていて、今後もさらに拡大を続ける予定だ。アカデミーのある地域には学校も建設される予定だし、アカデミー内にはジュニアグループが使える独自のホテルもある。彼らの成長に必要な設備は豊富に整っているんだ」

ルーマニアは初戦のウクライナ戦で90分間ハードに戦い、闘志を全面に押し出していた。同メディアはその姿から、「ハジのメンタリティはまだ生きている」とルーマニア黄金世代の姿を重ねている。そうしたメンタルの強さもアカデミーの指導が効いているのかもしれない。

まだまだ今大会の勝利は始まりでしかない。再びルーマニアを国際舞台の決勝トーナメントへ送り込むべく、英雄ハジのチャレンジは続く。

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