EURO2024優勝候補筆頭と言ってもいいほどのタレント集団なのに、「なぜイングランド代表はこんなにも悪いの?」と取り上げたのは英『FourFourTwo』だ。
おそらく同じ感想を抱いている人が世界中にいるに違いない。イングランドはグループCを首位で通過したものの、セルビア、デンマーク、スロベニア相手に何とも地味な戦いぶりに終始した。
同メディアは考えられる問題点をいくつかリストアップしているが、問題は思った以上に根が深いかもしれない。
1.中盤のメンバーが決まらない
大会のスタートより、代表監督ガレス・サウスゲイトが試行錯誤してきたのが中盤だ。ボランチの一角はデクラン・ライスで固定されているが、相棒が定まらない。まずはトレント・アレクサンダー・アーノルドを選択したが、全く良さを活かせていない。リヴァプールでは右サイドバックに入る機会の方が多いこともあり、中盤にフィットするにはもう少し時間が必要なのかもしれない。
そこでサウスゲイトはグループ最終節のスロベニア戦でチェルシーMFコナー・ギャラガーをライスの相棒に選んだが、ギャラガーもフィットしていない。前半だけでベンチへ退き、代わりにマンチェスター・ユナイテッドで売り出し中の19歳MFコビー・メイヌーを起用したが、今のところメイヌーが1番合っているか。
とはいえ19歳のメイヌーは経験値が不足している。EURO決勝トーナメントでのスタメン抜擢には少し勇気がいる。
以前はジョーダン・ヘンダーソン、カルヴィン・フィリップスがいた。両者とも派手なタイプではないが、同メディアはサウスゲイトにとって計算しやすいMFだったと伝えており、EURO本番までに中盤を固められなかったのは痛い。
2.セットプレイから得点の気配がしない
これは他の問題に比べれば小さなことと同メディアは前置きしているが、今大会は空中戦に強いDFハリー・マグワイアがメンバーに入っていない。以前の代表ではマグワイアがセットプレイのターゲットになっていたが、今はその代わりがいない。渋く守りつつ、セットプレイで1ゴールを挙げて勝ち切るなんて戦い方もサウスゲイトらしいものだったが、今はその選択肢がない。
3.最終ラインが手薄
主な問題は左サイドバックで、グループステージでは右を本職とするキーラン・トリッピアーを左サイドバックに回している。右サイドはカイル・ウォーカーで問題ないが、左で起用されているトリッピアーは持ち味を発揮できていない。
人員が手薄なこともあり、最終ラインのオプションも不足している。同メディアはジョン・ストーンズ、ウォーカー、マーク・グエーイの3バックとし、トリッピアーを右ウイングバック、左に復帰が迫るルーク・ショー、あるいは思い切ってブカヨ・サカを選んではと提案している。
いずれにしてもオプションが足りていないのは事実で、怪我や累積警告のトラブルがあった際に対応できなくなる恐れがある。
4.2列目のアイディアが不足
中盤と似た問題だが、ベストな2列目が分からない。サウスゲイトは右ウイングにサカ、左にフィル・フォーデン、トップ下にジュード・ベリンガムを選んでいるが、フォーデンは左サイドで明らかにプレイしづらそうだ。
スロベニア戦ではようやくコール・パルマーが途中から起用されたが、ベスト16からパルマーを思い切ってスタメン起用すべきだろうか。左サイドにはニューカッスルFWアンソニー・ゴードンの選択肢もあるが、とにかく左ウイングの1番手を早く見つけなければならない。
メンバーが豪華になったゆえの問題とも言えるが、サウスゲイトもベストな2列目が分からなくなっているのかもしれない。
挙げられた4つの問題はなかなかに深刻である。ベスト16ではスロバキア代表と対戦するが、それまでに全ての問題を解決するのは難しいだろう。選手個々の能力は高いだけに、タレント力で何とかしてもらうしかないか。