120分間バチバチのぶつかり合いは互角の闘い ポルトガルとのPK戦をフランスが制し、ベスト4進出

ぺぺの悔し涙にロナウドが抱擁 photo/Getty Images

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まさに死闘だった

ラウンド8
ポルトガル 0-0 フランス
( PK3-5 )

ベスト8の戦いにおける注目のカードの一つ、ポルトガルとフランスが激突した。ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウドが全試合先発出場を飾り、フランスのキリアン・ムバッペとの世界最高峰ストライカー同士の対決となった。

試合は開始直後にフランスが攻勢をかける。スタジアムは早くも試合が動きそうな異様な雰囲気を醸したが、数分後には意外にもフランスがペースを落とし、ポルトガルがボールを握る展開が待っていた。
ポルトガルはラファエル・レオンにボールを集め、左サイドから攻撃を仕掛けていく。シンプルなクロスやコーナーキック、ミドルレンジからのシュートなどでチャンスを作るも得点には結びつかない。フランスもカウンターからテオ・エルナンデスの強烈なミドルシュートやムバッペの突破からチャンスを迎えるが、ポルトガルが最後のところを許さない。

25分過ぎにはポルトガルはレオンがテクニックで仕掛け、フランスはムバッペがスピードを生かし、それぞれサイドを突破してチャンスを作る。しかしこれもお互いの守備が固く無得点に終わる。その後はしばらく一進一退の攻防が続くが、40分にはポルトガルがゴール正面でのFKを獲得。これをロナウドが蹴ると見せかけ、ブルーノ・フェルナンデスがシュートし、フランスの守備を驚かせるが、ボールはゴールの枠の上へ。結局、前半はそのままスコアレスで折り返すことに。

後半は両チームともメンバー交代なしで始まった。フランスは前半とは異なり、序盤からアグレッシブにプレイし、運動量を増す。そのおかげで分厚い攻撃を仕掛けていく。その中でムバッペが打開しようとワンツーからミドルシュートを放つがGKの正面に飛んでしまう。対するポルトガルは、前半同様にレオンの突破からチャンスを作る。ただクロスの精度が悪く得点が遠い。それでも60分過ぎにはポルトガルが立て続けにチャンスを演出し、ペナルティエリア内でブルーノ・フェルナンデスやビティーニャがフリーでシュートを打つも、フランスの守護神マイク・メニャンが好セーブでチームを救う。

65分にはフランスが攻勢に出る。ランダル・コロ・ムアニがパス交換で抜け出し、ペナルティエリア内で素早くシュートを放つ。それをルベン・ディアスが滑り込みながらの気迫あるディフェンスで防ぐ。彼の伸びた足が間一髪のところでゴールに向かうボールに触れたことで角度が変わり、枠を外れていった。

フランスは67分に選手交代。グリーズマンを下げ、ウスマン・デンベレを投入。69分にはそのデンベレのドリブル突破によってこぼれた球をエドゥアルド・カマヴィンガが反応。体を回転させてシュートを打つがゴールは奪えず。ポルトガルも試合の流れを簡単には渡さない。84分には球際の強さからボールを奪い返し、再びFKを獲得。キッカーはロナウドが務めるも決めきれない。フランスはさらにFWを交代。コロ・ムアニに替えマルクス・テュラムがピッチに入る。それでも一進一退の状況は変わらず、フランスはエンゴロ・カンテやムバッペが、一方のポルトガルはベルナルド・シウバがそれぞれ惜しいシュートを狙うが、両者とも集中力が切れない。そしてお互い無得点のまま、後半が終了し延長戦へと突入することとなった。

延長前半が始まると92分に、まずはポルトガルがチャンスを得る。シウバが左サイドを個人技で突破しペナルティエリア中央にパスを送る。そこにフリーのロナウドが待っていたが、わずかに右足に合わずシュートが浮いてしまう。反対にフランスは引いて守り、デンベレとムバッペのカンター狙いで相手ゴールに迫る。以降、なんとかフランスの勢いある攻撃を防ぐポルトガルは、カウンターを受けないよう慎重にボールを保持しながらチャンスを伺うようになるが、結局、打開策が見出せず延長前半が終了する。

延長後半の開始と同時にポルトガルはレオンを下げ、ジョアンフェリックスを投入。フランスはなんとエースのムバッペをここで諦め、ブラッドリー・バルコラが入る。107分にはそのフェリックスが右からのクロスに対しファーから走り込み、フリーでヘディングシュートを放つが惜しくもサイドネットに嫌われる。フランスは110分過ぎにデンベレとバルコラの個人技でシュートまで持っていくが、どちらも枠を大きく外してしまう。そして延長後半の終了間際には、お互いカウンターの応酬でゴールへの執念を見せたがタイムアップ。お互い死力を尽くしたが、PK戦までもつれ込む結果に。

そのPK戦ではフランスが先攻。1人目のデンベレが決めると、後攻のポルトガルもロナウドが落ち着いてゴールに沈める。その後、フランスは残りの4人全員が決めたが、ポルトガルは3人目のフェリックスが外していたために勝負あり。120分の長い闘いをフランスが制し、ベスト4に進出を決めた。


[スコア]
ポルトガル 0−0 フランス
( PK3-5 )

[得点者]
ポルトガル
なし

フランス
なし


[ラインナップ]
ポルトガル

監督:ロベルト・マルティネス

GK
ディオゴ・コスタ(ポルト)

DF
ぺぺ(FCポルト)
ルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)
ヌーノ・メンデス(パリ・サンジェルマン)
ジョアン・カンセロ(バルセロナ)

MF
ジョアン・パリーニャ(フラム)
ブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)
ビティーニャ(パリ・サンジェルマン)

FW
ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)
クリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)
ラファエル・レオン(ミラン)

交代出場・退場
74分 フェルナンデス→チコ・コンセイソン(FCポルト)
74分 カンセロ→ネルソン・セメド(ウォルヴァーハンプトン)
92分 パリーニャ→ルベン・ネベス(アル・ヒラル)
105分 レオン→ジョアン・フェリックス(バルセロナ)
119分 ビティーニャ→マテウス・ヌネス(マンチェスター・シティ)


フランス

監督:ディディエ・デシャン

GK

マイク・メニャン(ミラン)


DF
ダヨ・ウパメカノ(バイエルン)
ジュール・クンデ(バルセロナ)
ウィリアン・サリバ(アーセナル)
テオ・エルナンデス(ミラン)

MF

エドゥアルド・カマヴィンガ(レアル・マドリード)
アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)
オーレリアン・チュアメニ(レアル・マドリード)

エンゴロ・カンテ(アル・イテハド)


FW
キリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
ランダル・コロ・ムアニ(パリ・サンジェルマン)

交代出場・退場
67分 グリーズマン→ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)
86分 コロ・ムアニ→マルクス・テュラム(インテル)
90分 カマヴィンガ→ユスフ・フォファナ(モナコ)
105分 ムバッペ→ブラッドリー・バルコラ(パリ・サンジェルマン)

(所属クラブは23−24シーズン時点)

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