現役引退のドイツ代表クロース、代表復帰決めた2023年9月29日を回想 ファンへの願いとペドリに謝罪も

EUROで最後の挑戦を行ったクロース photo/Getty Images

「待てよ……やりたいぞ」

EURO2024準々決勝で、スペインとの死闘に敗れたドイツ。MFトニ・クロースの現役引退の花道をタイトルで飾ることはできなかったが、今大会で久々に、ドイツ国内をサッカーの熱に包んだ。

クロースは2010年3月、アルゼンチンとの親善試合で、同じくデビュー戦だったトーマス・ミュラーと代わり、A代表選手として初めてピッチに立った。それ以来、2014年ブラジルW杯優勝の頂点も、2018年ロシアW杯グループリーグ敗退のどん底も、ドイツ代表の顔として戦ってきた。決勝トーナメント1回戦でイングランドに敗れた前回のEURO2020(2021年)以降、代表から距離を置いていたが、自国開催のEURO2024で復帰。最後の1ピースがようやくそろったかのように、チームは息を吹き返した。クロースはスペインに敗れた翌朝、自身のインスタグラムを更新し、代表復帰を決めた日のことを回想。チームやファンへの思いも綴った。

「2023年9月29日に電話が鳴った。発信者はユリアン・ナーゲルスマン。『代表チームに戻ってくれ』という内容だった。まず先に頭が反応して『冗談じゃないよ』と。その後、心が反応して『待てよ……やりたいぞ」。そして、ご存じのように、心が決定権を得た」

「2024年7月6日(スペイン戦翌日の)朝一番にまず、『やって良かったんだ』と思えた。昨日の試合が終わった後の悲しみ、空虚感はもちろん続いていたけれど。このチームには常に、ここ数年間の(代表チームが)示してきた以上の何かがあって、それでも、これほどの短期間で、タイトル獲得への現実的なチャンスを得られること、トップレベルの選手たちと互角の試合ができることは予想していなかった。だから、このチームが成し遂げたことを本当に誇りに思うし、そしてそれは、この国の人々みんながそう感じて良いことだと思う。この自国開催のEUROを特別なものにしてくれたすべてのファンに、心からありがとうと言いたい。僕らはあなたたちの姿を見て、心動かされました。個人的にもここ数週間に与えてもらった非常に特別な温かさと愛情に感謝したいです」

「お願いがあります。皆さんは(サッカードイツ代表という)お気に入りのアイコンを取り戻しました。どうかそれを手放さないで欲しい。このチームの道はこの先まだまだ続くし、もし、うまくいかない時期が来て、それでも皆さんの支えがあれば、計り知れない程の助けになる。なぜならば、このチームが、目標に向かってすべてを捧げる素晴らしい人間の集まりだと断言できるから。ドイツサッカーは再び、その姿を取り戻しました」

最後に、クロースのファウルを受けて前半8分に交代を余儀なくされたスペインのMFペドリに謝罪した。

「それから、これは僕個人にとってとても重要なことですが、ペドリ、本当に申し訳ない。君にけがを負わせようなんて気持ちはもちろんありませんでした。早い回復とこれからの幸運を祈っています。君は本当に素晴らしい選手です」

今後クロースは自身のサッカーアカデミーに尽力するという。英雄はトップレベルのまま表舞台を去るが、その遺伝子は確実に受け継がれていくはずだ。


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