EURO2024でストライカーの得点が少ないのはなぜ? 得点の取り方が変わった現代サッカー

モラタも1得点と数字上は寂しい photo/Getty Images

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「9番」に依存せず

EURO2024も残すところ、決勝戦のみとなった。今大会もさまざまな試合でドラマがあった中、スペイン紙『MARCA』では興味深いデータを調べている。

『MARCA』は今大会のゴールランキングについて調査。同紙によると、今大会、各国の「9番」及び、ストライカーのゴールが極めて少ないことを述べている。今回のEURO2024のゴールスタッツを見てみると、イングランドのハリー・ケイン、スペインのダニ・オルモ、スロヴァキアのイヴァン・シュランツ、オランダのコーディ・ガクポ、ドイツのジャマル・ムシアラ、ジョージアのジョルジュ・ミカウタゼ、計6人が3ゴールで得点ランキングトップタイとなっており、このうち、純粋なストライカーはハリー・ケインとジョルジュ・ミカウタゼの2人だけで、明らかに少ないことがわかる。

また、 EURO史上最多の14ゴールを挙げたポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドをはじめ、ベルギーのロメル・ルカク、イタリアのジャンルカ・スカマッカ、デンマークのラスムス・ホイルンド、スロベニアのベンヤミン・シェシュコらはいずれも無得点で大会を後にしている。歴代の大会のスタッツと比較しても異例のことだ。
同紙ではハリー・ケインの「ストライカーとしては、中盤の選手にできるだけ多くのスペースを与えたい。試合の展開やチームが何を必要としているかを見極めるようにしている。もっとボックス内でプレイする必要があるときもあれば、下がってディフェンダーが嫌がるような状況を作ることもある」という発言が引用されている。今大会において、ストライカーよりも、ウイングや、トップ下、セカンドトップらの選手の得点が多く見られる。1トップの選手が状況に応じて本来のポジションから移動することで、相手のマークもそれに応じる必要があるため、そこにスペースが生まれ、味方の選手がそのスペースを使ってチャンスを作る。現代のフットボールではよく見られる攻撃パターンだ。

今大会、UEFAの一員として大会を分析しているアイトール・カランカ氏も、「もしかしたら、ストライカーたちは他の機会ほどゴールを決めていないかもしれないが、もう少し先を見なければならない。例えば、フランス戦でアルバロ・モラタが見せた仕事は目を見張るものだったし、ニコ(・ウィリアムズ)やラミン(・ヤマル)のような選手はそれを活かしている。素晴らしいストライカーがいれば、彼にすべてを託すものだが、今は誰もが他の選択肢を探している」とコメント。ストライカーに依存するのではなく、ストライカーを有効活用してチャンスを生み出すのも必要と語った。

これまでストライカーといえばゴールを決めてチームを勝利に導くことが役割だったが、今では得点以外の役割も必要とされている。チームの勝利に貢献するため、得点以外の活躍も評価される時代だ。決勝では、両チームのストライカーの動きも注目される。

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