EURO2024準決勝でスペイン代表に敗れたフランス代表は、大会を通して得点力不足に悩まされた。流れの中から思うようにゴールを奪えず、複数得点を奪えたゲームはゼロという寂しい結果だ。
守備はウィリアム・サリバ&ダヨ・ウパメカノのセンターバックコンビ、復帰したMFエンゴロ・カンテらのおかげで安定していたが、今大会のフランスは全体的に消極的だったと言える。
英『The Gaurdian』が物足りないエリアに挙げたのは中盤だ。前述のカンテ、レアル・マドリードで成長したオーレリアン・チュアメニ、ユヴェントスのアドリエン・ラビオのトリオが選択されてきたが、攻撃面での展開力には物足りなさがあったか。
「(監督の)デシャンが好んだラビオ、チュアメニ、カンテの3人組は、いずれもまずまずの成績を残したが、創造性に欠けていた。ベンチに控えるエドゥアルド・カマヴィンガ、ユスフ・フォファナ、ザイール・エメリもほとんど助けにはならず、デシャンがこのような平凡なMF陣を選んだことが失敗の最大の原因だった」
決勝まで進んだ2022年のワールドカップ・カタール大会では、アントワーヌ・グリーズマンが中盤へ顔を出してチャンスメイクに貢献していた。しかし今大会は先発から外れるゲームもあり、ベストコンディションだったとは言い難い。
また優勝した2018年のワールドカップ・ロシア大会では、MFポール・ポグバがいた。そのポグバはドーピング問題で長期の出場停止処分を受けており、さすがのフランスもポグバに代わるMFは見つけられていない。同メディアも2026年のワールドカップへ中盤の再編が必要と主張している。
「ポグバと好調なグリーズマンを失った今、デシャンはもっと創造的な選手を選ぶことはできないのか。年齢的にグリーズマンとカンテの代表キャリアも間もなく終わりを迎える可能性が高い 。フランスは創造性を持ってプレイする選手に賭ける必要がある」
ポグバ級のMFを探すのは難しいが、国内のリヨンには24歳のMFマクサンス・カケレ、19歳と若いレンヌMFデジレ・ドゥエ、バイエルン移籍が決まった22歳のミカエル・オリーズも攻撃的MFの位置に入れる。いずれにしても、もう少しリスクを冒した中盤の編成でなければ前線のピースを活かすのは難しい。
フランスはデシャン体制を継続する見込みだが、同メディアはアプローチの変化を求めている。より攻撃的なスタイルを望んでいるのだ。
「個人の才能だけに頼るのではなく、チームの攻撃オプションに創造性を加えるなど、より革新的なアプローチを取ることができれば、今大会でもフランスはどんな成果をあげられただろうか」
デシャン体制を支えてきたグリーズマンも2年後のワールドカップを迎える時には35歳となっていて、ピークを過ぎている可能性もある。今大会のフランスに関してはタレント力の割に地味との意見も出ていたが、2026ワールドカップへもっとアグレッシブなスタイルを取れるか。