スペインのサッカーはなぜこんなに強いのか この夏を支配した圧巻の“サッカーIQ”「選手個々が自分の役割を理解している」

選手たちに指示を出すデ・ラ・フエンテ photo/Getty Images

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チームに戦術を落とし込む指揮官たちも優秀だ

今夏のサッカー界は、スペインの強さが存分にアピールされた夏だった。EURO2024、さらに男子はパリ五輪まで制覇。女子もパリ五輪で4位に入っており、昨年の女子ワールドカップ王者としてハイレベルなパフォーマンスを見せてくれた。

英『BBC』はなぜスペインのサッカーはこれほど強いのかと取り上げているが、その1つに挙げられるのが戦術理解度、サッカーIQの高さがある。

EURO2024で解説を務めていた元イングランド代表DFマイカ・リチャーズ氏は、「このスペイン代表の素晴らしいところは、選手個々が自分の役割を理解し、チームにどう適応すればいいか理解していることだ」と説明している。選手個々のサッカーIQが高いため、代表チームながら連携が非常にスムーズだ。
今ではティキ・タカにこだわることもなくなったが、ティキ・タカの意志が完全に消えたわけではない。シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタ、セルヒオ・ブスケッツらが見せていた頃のティキ・タカの精度には及ばないかもしれないが、今のスペインにも必要な時にはポゼッションサッカーをこなせるだけのテクニシャンが揃っている。

そしてチームに戦術を落とし込む指揮官もまた優秀だ。米『ESPN』は『現世界最高の指揮官TOP50』なるランキングを作成しているが、TOP10に5人もスペイン人指揮官が入っている。10位にエルネスト・バルベルデ(アスレティック・ビルバオ)、6位にルイス・エンリケ(パリ・サンジェルマン)、5位にシャビ・アロンソ(レヴァークーゼン)、4位ミケル・アルテタ(アーセナル)、1位ジョゼップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)の5人だ。戦術に強いこだわりを持つタイプの指揮官が多く、常に最先端のアイディアを持っている。

今のスペインA代表を指揮するルイス・デ・ラ・フエンテ、五輪男子代表を指揮するサンティもこの夏で大きく評価を上げた。2人の場合、かなり以前から世代別スペイン代表を指揮してきた点がポイントだ。デ・ラ・フエンテは2013年よりアンダー世代のスペイン代表を指揮していたため、今のA代表選手の特長もよく理解している。五輪男子代表を指揮するサンティは、2010年より世代別代表を指揮している。

組織力の部分で他の代表チームを圧倒しているところがあり、ただ優秀な選手を並べるだけではスペインに勝てない。ラミン・ヤマル、フェルミン・ロペス、パウ・クバルシ、ニコ・ウィリアムズといった若き新世代の台頭も印象的で、ここからスペインの新たな黄金期が始まるかもしれない。

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