アルテタは守備からチームを作る
プレミアリーグで2年連続の2位となり、今季こそマンチェスター・シティを倒してタイトルを勝ち取りたいアーセナル。しかし今のところ実質的な新戦力はボローニャから獲得したDFのリッカルド・カラフィオーリのみだ。
タイトルを獲るためにはストライカーこそが必要だという意見も根強いようだが、ミケル・アルテタが真っ先に補強したのはディフェンスラインだった。アルテタは就任以降、何より守備陣の見直しから手を付けており、シュコドラン・ムスタフィやソクラティス・パパスタソプーロスなどをベン・ホワイトや冨安健洋などに入れ替えてきた。
アーセナルは昨季、守備面で特筆すべき成績を残した。リーグ最少失点「29」、リーグ最多クリーンシート「18」、そしてウィリアム・サリバの全試合フル出場などだ。そのためシーズン20ゴールを挙げるようなストライカーがいないなかで、さらにもう1人のトップディフェンダーを獲得するのは異例なことだと英『Daily Mail』も指摘しているが、やはりアルテタのチーム作りの軸は守備にあるようだ。
同紙によれば、アルテタはアメリカツアー中に次のように語っている。
「昨季は人数の面でバックラインが本当に足りなかった。彼らの要求しすぎた。例えばウィリー(サリバ)はプレミアリーグで毎分プレイしており、我々は彼らをもっと守らなければならないと感じている」
「バックラインには6人のDFがいた。このレベルでこのようなシーズンを継続するには、本当に幸運でなければならない。ウィリーとガビ(ガブリエウ・マガリャンイス)がほぼ毎分プレイしてくれたので、我々は幸運だった。ウィリーは前シーズンよりも、50%以上も多くの時間をプレイした」
「彼らがそれを3年か4年維持できるかどうかは大きな賭けだ。このレベルでは、ただそれに賭ける、ということはできない。我々はそれをしたくなかった」
同紙は、これはアルテタが今季、守備のローテーションを増やし、サリバとガブリエウに頼り切りにならないようにすることを示していると綴っている。アーセナルの守備陣にはCB、SBのマルチロールの選手が揃っている。ホワイト、冨安、ユリエン・ティンバー、ヤクブ・キヴィオル、そしてカラフィオーリもそうだ。サイドでも中央でも交代可能で、かつボール保持時にはミッドフィールドでプレイできる技術も兼ね備えた選手たちをアルテタは揃えた。陣容は欧州屈指と言ってよく、昨季は満足な結果を残せなかったカップ戦でも効果を発揮するだろう。
アーセナルが昨季のような鉄の守備を継続し、なおかつそれをローテーションによって効果的に長続きさせることができれば、タイトル獲得への近道となることは間違いない。