ベッカム氏がエリクソン元監督への追悼コメントを発表 今生の別れとなった今年初めの再会動画も同時に公開 

深い絆で繋がっていた二人 photo/Getty Images

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感謝の言葉を綴る

元イングランド代表のデイビッド・ベッカム氏が、8月26日にすい臓がんのため亡くなったスヴェン・ゴラン・エリクソン氏に追悼のコメントを自身のSNSで発表した。

エリクソン氏と言えば、イングランド代表初の外国人監督となった人物で、2001年から2006年までこの職に務めていた。そしてベッカム氏がイングランド代表のキャプテンマークを巻いたほとんどの試合で指揮を執っていた。エリクソン氏とベッカム氏の関係は、単なる監督と選手の間柄ではなく、監督とキャプテンという共にチームを束ねる立場であり、師弟や同志、友人、そのどれにも当てはまる深い絆で結ばれていたことだろう。

そんなエリクソン氏がすい臓がんを患っていたことが判明したのは今年1月のこと。そしてベッカム氏は彼の余命が1年であることを知り、会いに行った際の動画も今回公開している。ベッカム氏はその時のやり取りを明かしつつ、彼に対する哀悼の意をこんな言葉で表した。
「私たちは笑い、泣き、そしてこれが別れになることを知っていました。……スヴェン、いつも情熱的で、思いやりがあり、穏やかで、真の紳士であるあなたでいてくれてありがとう。あなたが私をキャプテンにしてくださったことは永遠に感謝します」

「あなたとあなたの家族と過ごしたこの日の思い出を、私は永遠に心に留めておきます。……ありがとうスヴェン。あなたの最後の言葉は『大丈夫だよ』でした」

この最後の言葉に、故人の気遣いと優しさが窺える。そしてそれは彼が監督時代にも常に表れていたように思える。物腰柔らかい表情で指揮を執る姿はとても印象的だった。日韓W杯でもその姿は日本にあり、記憶に残っている方も多いのではないだろうか。

彼の思い出話として、少しマニアックかもしれないが、EURO2004準々決勝のポルトガル戦で彼の意外な姿が見られたことを記憶している読者はおられないだろうか。その試合は互いに死力を尽くした戦いで、1−1で迎えた延長後半110分のことだった。どちらが勝ちを引き寄せるか一進一退の中、ポルトガル代表のマヌエル・ルイ・コスタに衝撃的な鋭いミドルシュートを決められると、エリクソン監督が顔を歪める痛恨の表情を見せ、それがカメラに抜かれたのだ。その悔しがり方がいかにも彼の人間味が溢れた表情と仕草で印象深かった。

それから早20年。彼の残した功績と活躍した姿はこれからも人々に伝えられていくことだろう。謹んで哀悼の意を捧げる。


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