なぜ中国サッカーは弱体化してしまったのか 前監督らが語る主な要因

中国は日本に大差で敗れた Photo/Getty Images

あまりにも差があった両国の実力

5日に行われたワールドカップアジア最終予選で中国は日本と対戦し0−7と惨敗した。中国国内ではこのスコアにより日本との実力差を痛感し、自国代表や協会に批判の声が上がっている。

中国といえば2000年代の前半までは東アジアを代表する国の1つであった。2002年には初のワールドカップに出場し、アジアカップでも常に上位の成績を収めていた。中でも2004年のアジアカップでは、ホーム開催ということもあって決勝まで勝ち進み、決勝で日本に敗れるも十分日本を苦しめたのは記憶に残っているであろう。しかしそれ以降は目立った成績を残せずにいた。

中国メディア『捜狐』では8つの弱体化の要因を紹介。①青年訓練体系の不完全さ、②サッカー場と施設の不足、③管理体制の不完全さ、④技術、戦術レベルの低さ、⑤献身精神の欠如、⑥社会支援の不足、⑦世論環境の複雑さ、⑧長期計画と安定性の欠如を挙げており、特に、献身精神の欠如については前中国代表監督を務めていたアレクサンダル・ヤンコビッチ氏も言及していた。2010年代に中国のサッカーリーグは巨額の資金を費やし、国外から多くの外国人選手や監督、コーチなどを獲得したことで、国内の選手や若手がプレイできる環境を奪っていったこと。貰える給料が高額なため、選手たちが満足して他のリーグに挑戦しなかったことが弱体化した要因とヤンコビッチは述べている。

また、団体競技に向かない国民性の問題もあるだろう。卓球やバドミントン、体操といった個人競技での活躍が著しく、実際に今年行われたパリ五輪では、中国は球技における団体競技で獲得したメダルは女子ホッケーのみで、その他のメダルは全て個人競技で獲得している。これまで行われていた一人っ子政策の影響により、団体精神や協調性に乏しい人が多いために個人競技の方が結果を残しやすいともいわれる。実際、2006年のワールドカップでイタリアを優勝に導き、2度中国代表の監督を務めたマルチェロ・リッピも、中国は文化的に卓球などのスポーツに流れていくと言及していた。

今回の大敗で中国ではすでに監督解任の話も少なからず上がっている。今回の結果は日本との力の差、及び今後の強化に向けた取り組みを今一度考え直すきっかけとなっただろう。


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