[名良橋晃]美藤、徳田、中島などJ終盤戦で注目したい若手8人をピックアップ

美藤倫はスケールが大きい 徳田誉は背負ってプレイできる

徳田が広島戦でJ初得点を決める。振り向きざまの見事なゴールだった Photo/Getty Images

 Jリーグは各カテゴリーが終盤を迎え、上位の優勝争いや昇格争いはもちろん、下位の残留争いも白熱しています。どのチーム&選手も必死であり、一試合一試合がホントに見応えがあります。

 そうしたなか、すでにチームの中心となっている若手がいれば、徐々に頭角を現わして出場機会を増やしている若手もいます。そこで今回は、Jリーグ終盤に注目したい若手、これからの活躍が期待される選手を紹介したいと思います。J1から4人、J2から2人、J3から2人となっています。

 美藤倫(G大阪)はスケールが大きい左利きのボランチで、近年のG大阪にいなかったタイプだと感じています。関西学院大から加入して途中出場で足を慣らし、31節京都戦、33節札幌戦では先発するなど確実に出場時間を増やしています。

 足元でのボールコントロールにうまさがあり、守備では奪い取る力強さがあります。大学では濃野公人(鹿島)、長尾優斗(水戸)、倍井謙(名古屋)などと同期で活躍していて、名前のある選手でした。その実力どおりにG大阪でも先発するに至っています。このまま出場を重ねた美藤倫がどんな選手に仕上がるか、とても楽しみにしています。

 徳田誉(鹿島)はチームだけではなく、日本サッカー界が成長を期待している本格派のストライカーです。186センチと上背があり、懐が深くて相手を背負いながらプレイすることができます。30節広島戦でのJ初ゴールもフィジカルが強い佐々木翔を背負いながらボールを受け、素早い反転から右足シュートを決めています。

 ジュニアから鹿島でプレイする生粋のアントラーズっ子で、ピッチ内でギラギラしているのもいいですね。徳田誉はまだ17歳でユースでは柳沢敦監督から指導を受けています。ストライカーだった柳沢敦さんのすべてを吸収して、大きく羽ばたいてほしいです。

 中島洋太朗(広島)も18歳でいまはユース所属ですが、トップチームで普通にプレイしています。仙台、千葉、広島で活躍した中島浩司の息子であり、すごくうまくてキックの質が高いです。ハードワークもできるボランチで、2列目でもプレイできます。フィニッシュの精度も高く、ACL2の東方戦では得点しています。

 JリーグとACL2を戦う広島は試合数が多いです。ミヒャエル・スキッベ監督が今後にどのような起用をするかわかりませんが、2冠達成に向けて、中島洋太朗はフル稼働となっていくかもしれません。

J3の井上怜と梶浦勇輝は来季の動向が楽しみ

偉大な父を持つ中島は、ボランチでも2列目でも稼働する Photo/Getty Images

 阪田澪哉(C大阪)は東山高校で選手権準優勝を飾り、昨年C大阪に加入しました。スピード&突破力がある選手で、ここ最近になって3バックの右ウィングバックで先発しています。今後に守備のところを吸収すれば、4バックの右サイドバックもできると思います。阪田澪哉はプレシーズンマッチのドルトムント戦で得点しています。タイプは違いますが、毎熊晟矢ぐらいステップアップしてほしい選手です。

 熊田直紀(いわきFC)はFC東京U-18のころから見ていましたが、強烈な左足を持ち、一振りで試合を決められる選手です。期限付き移籍していたKRCヘンクから戻り、出身地である福島県のいわきFCにシーズン途中に加わりました。いわきFCは西川潤、大迫塁など若い選手が成長しているチームで、熊田直紀もさらに大きな選手になることを期待しています。ゴールを量産し、ぜひチームをJ1昇格プレイオフに導いてください。

 齋藤俊輔(水戸)は34節清水戦でJ初スタメンを飾りました。スピードがあって前方にボールを運べるドリブラーで、フィニッシュの場面では迷いなく足を振り切る思い切りの良さがあります。24節横浜FC戦では長い距離をドリブルし、2人の相手DFを抜き去って豪快なシュートを決めています。齋藤俊輔は桐光学園の出身で、3年生のときにインターハイで準優勝しています。まだまだ伸びる選手なので、その成長を今後もしっかり見届けたいと思っています。

 井上怜(宮崎)は水戸からの期限付き移籍ですが、すんなりフィットしてチームのなかで代えがきかない選手となっています。左利きで前方への推進力があり、ドリブルでボールを運べます。キックの質も高く、1本のパスで違いを作れます。市立船橋高校で10番をつけていた逸材が、確実に経験を積んでいます。水戸に戻るのか、宮崎に完全移籍するのか。あるいは、別のチームでプレイするのか。来季の動向が楽しみですね。

 梶浦勇輝(金沢)はFC東京から期限付き移籍中の20歳で、キャプテンを任される試合があるほどチームの中心になっています。FC東京U-18ではボランチでしたが、金沢では[3-4-2-1]のシャドーで出場し、8得点しています。自分でも得点できる怖い選手へと成長していて、しっかりと結果を出している。この選手も来季の動向が気になります。個人的にはFC東京でのプレイも見たいと思っています。


構成/飯塚健司

※ザ・ワールド2024年11月号、10月15日配信の記事より転載

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