ファーガソンとの関係はマンUのためになっていたのか 蜜月を終わらせたのは正しいと英記者

御年82歳のファーガソン氏 Photo/Getty Images

ラトクリフ氏の英断

マンチェスター・ユナイテッドは、元監督であるサー・アレックス・ファーガソンとの年間200万ポンドに及ぶアンバサダー契約を今季限りで打ち切るという。指揮官として数々のタイトルを獲得したファーガソン氏はマンUを象徴する人物の一人だが、経費削減のために仕事を失うことになるようだ。

レジェンドのエリック・カントナ氏はこの件について「敬意を欠いている」と憤慨していたが、現在のファーガソン氏は本当にクラブのために必要な人材だったのだろうか。英『Daily Mail』のイアン・レディマン記者はその点について懐疑的で、蜜月を終わらせたのは正しいと主張している。

2013年に指揮官を退いたファーガソン氏にアンバサダーの職務を与えたのはオーナーのグレイザー一家が取り決めたことだったが、これでファーガソン氏とグレイザー・ファミリーの関係は実質的に終わった。「控えめに言って、複雑で不便な結婚生活だった」とレディマン氏はコラムで綴った。

グレイザー一家はマンU凋落の元凶であると一部のファンから忌み嫌われているが、これは2005年に一家がマンUを買い取った際の買収金7億9000万ポンドすべてをクラブの負債とし、多額の借金をクラブ自身に背負わせてしまったことが原因であるといわれる。以前のオーナーであった競馬界の大物ジョン・マグニエ氏とJP・マクマナス氏が株式を売りに出したのは、当時指揮官だったファーガソン氏が競走馬の種付け権をめぐって両氏に異議を唱えたことが発端であるというふしもあり、つまりグレイザー一家による長年の支配を間接的に招いたのはファーガソン氏だったということにもなる。

黄金期を築いたファーガソン氏は確かに広告塔としてはこれ以上ない人物であったが、グレイザー一家がファーガソン氏の懐に多額のマネーを入れることで、ユナイテッドに対する支配力を強めていたという一面も否定できない。また、後任に指名したデイビッド・モイーズの招聘が大失敗に終わるなど、同氏の監督引退後の動きはクラブにとってネガティブに働いた面も大きい。

このタイミングでファーガソン氏と決別したことは、つまりグレイザー一家の影響力を間接的に抑制することにもつながる。ファーガソン氏に毎年支払っていた金額は過去とのつながりにすぎないとレディマン氏も指摘しているが、マンUはもう過去のしがらみをすべて捨て去る時だったということなのかもしれない。ラトクリフ氏の英断がクラブの今後にどのように影響するか、注目したい。

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