今のイタリア代表には慢心はなし!? スパレッティ監督がEUROやW杯予選で敗退した過去を回顧し「忘れることはできない」「あの挫折はいつでもすぐそこにある」

挫折を味わい見事にイタリア代表を復活させたスパレッティ監督 photo/Getty Images

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好調の理由は、選手個々の精神的な成長か

UEFAネイションズリーグで好調を維持するイタリア代表のルチアーノ・スパレッティ監督に慢心はないようだ。

そのイタリア代表は日本時間18日の早朝に、グループリーグ最大の敵であるフランスとの2試合目を控えている。スパレッティ監督にとっては、この試合で20試合目の指揮となる予定で、就任から1年2ヶ月の間にEURO2024における挫折と、その後のUEFAネイションズリーグでの快進撃と、短期間で真反対の評価を受ける珍しい例を見せている。

そして会見で、そのことについて触れられた同監督は「我々が本当に間違えた唯一の試合はスイス戦だったと思います」と、EURO2024のベスト16での敗北について振り返った。そして「誰も私にあの敗北を忘れさせることはできませんし、ワールドカップ出場権を逃したことも忘れさせることはできません。ある意味、あの記憶を心に留めておくのはいいことです。正しいことをしなければ、あの挫折はいつでもすぐそこにあるということを忘れてはいけません」と好調に転じてもなお、危機感を把持していることを明かした。
そのイタリア代表の復調は、これまでメディアや識者からフォーメーションの変更が要因と指摘されている。この会見でもそれについて言及されると、スパレッティ監督はこう答えた。

「今日、良いプレイをするためには、アプローチを解釈できる多くの異なるプレイヤーが必要です。そして、その時に生まれるスペースを感知しなければなりません。スペースは修正することができ、狭くなったら、質を高めなければなりません。レアル・マドリードやマンチェスター・シティのプレイを見ると、彼らの最大の強みは、これを普通のこととして繰り返し非常にうまくこなすことです。それが普通になり、無限に繰り返されることこそが重要なのです」

このスパレッティ監督の言葉から窺えるのは、今のイタリア代表の強さの要因が、単純にフォーメーションだけでなく、その戦術を理解し、臨機応変に動ける選手の質の高さにあるということだ。

当然イタリア代表には以前から足下の技術が高い選手が揃っていた。それなのにEURO2024では力を発揮できなかった。スパレッティ監督の言葉から推量するならば、選手たちはその敗戦から、サッカーの質を高めるために必要な意識の変化があったということなのだろう。

実際にUEFAネイションズリーグでのイタリア代表の戦い方を見れば、EURO2024の時よりも攻撃時にボックス内のスペースに進入する選手の数や、その回数は明らかに増した。結果的に連動性が生まれ、各局面で数的優位を作り、チャンス自体が増加。そしてそれが得点に繋がっている印象を受ける。

フォーメーションが少なからずそれに寄与していることも窺えるが、あくまでも選手のポジションを戦術に応じて置いたもので、試合中の動きに関しては個々の一瞬の判断に委ねられる。すると、やはり戦術理解やスペースへの動きなどに対する意識の変化があったと考えられる。

今のイタリア代表は、一度挫折を味わっているだけに、この変化も自分たちでしっかり分析済みだろう。もしかしたらイタリア代表が再び確固とした強豪国の地位を取り戻すかもしれない。その試金石として、グループリーグの最大の山場、フランス戦に注目だ。

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