アーセナルのセットプレイ戦術から再評価高まる “異色”の戦術示したトニー・ピューリスのストーク・シティ

恐るべきロケット・スローを投げていたデラップ Photo/Getty Images

“デラップ・ロケット”が名物だった

先日のマンチェスター・ユナイテッド戦ではコーナーキックから2得点、昨季から数えてコーナーキックからの得点が「22」とダントツであることで、アーセナルのセットプレイ戦術には注目が集まっている。プレミアリーグ公式もXでアーセナルを「コーナー・キング」であると賞賛した。

思い出されるのは、かつて空中戦が猛威をふるったトニー・ピューリス率いるストーク・シティだ。元ユナイテッドFWのディミタール・ベルバトフ氏も『PRIME VIDEO SPORTS』で「冗談で言うが、アーセナルは新しいストーク・シティだ。今日でも、セットプレイで勝利をつかむことができる」と、ピューリス時代のストークを彷彿とさせることについて語っている。

ピューリスのストークは、まさに異色のチームだった。ひとつスローインでも得ようものなら、相手はセットプレイの脅威にさらされる。“人間発射台”ロリー・デラップがロケットのようなロングスローをブン投げ、そこへリカルド・フラー、ライアン・ショウクロスら190cm超えの選手たちが殺到する。足元のテクニックでは劣っていても、空中戦ならば何が起こるかわからない。ストークはこの戦術でプレミアのライバルたちを苦しめ、本拠地ブリタニア・スタジアムは恐るべき難所と化した。

今季のアーセナルには長身の選手が揃っており、確かにかつてのピューリスのやり方をより洗練させたものと言えるかもしれない。ピューリス自身も『BBC RADIO』でこの比較について語っている。

「私が在籍したチームのほとんどがセットプレイを得意としていた。アーセナルが示しているように、セットプレイはサッカーの非常に重要な部分だ。全国各地にセットプレイのコーチがいるようになって、セットプレイは流行しつつあると思う」

「プレミアリーグに参入し、プレミアで生き残らなければならないチームにとって、こうしたさまざまな状況がいかに大事かはわかっていた。ボールの質は実に素晴らしい。そして、ボールにアタックし、得点したいという選手が揃っていなければならない。アーセナルにはそれが豊富だ」

かつて、アーセナルはこの戦術に苦しめられ、多くの勝ち点をブリタニアで落とした。まさかそのアーセナルが空中戦を制する側になろうとは、戦術のトレンドとは面白いものだ。



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