昨季のブライトンはクラブ史上初めてヨーロッパリーグ(EL)に参戦して16強入り。一方で、プレミアでは一昨年6位から順位を落として11位でシーズンを終了。試合数の増加もあり三笘薫も含めてケガ人が出たことで思うようなシーズンを送れなかった。
成績だけが理由ではなかったが、ブライトンは監督交代を決断し、ザンクト・パウリをブンデスリーガ2部から1部へ昇格させた元アナリストでデータを駆使する31歳のファビアン・ヒュルツェラーを引き抜いて今季を迎えた。
すると、序盤5試合に2勝3分けという負けなしスタートを切った。第1節エヴァートン戦で奪ったチームのシーズン初ゴールは三笘薫で、新加入のヤンクバ・ミンテからのクロスに合わせて決めたものだった。試合にも敵地で3-0の快勝となり、早くも新監督のもと新戦力が機能していた。
6節チェルシー、10節リヴァプールには敗れたが、11節マンチェスター・シティとの一戦には1点のビハンインドを終盤になって逆転し、2-1で競り勝っている。ジョアン・ペドロが決めた同点弾は三笘が左サイドからお膳立てしたもので、マット・オライリーが奪った逆転弾は素早い縦パスをつないで中央を崩した。
ブライトンの攻撃は両サイドの選手がワイドに開き、そこから展開されることが多いイメージだが、新監督のヒュルツェラーは素早くフィニッシュまで持っていくことも求めていて中央を崩すことも狙っている。そのため、マンC戦の逆転弾のときもそうだったが、三笘がススーと中央へポジションを絞っているときが今季はいままで以上にみられる。
そうなると、空いたサイドのスペースに左SBのペルビス・エストゥピニャンやジャック・ヒンシェルウッドが走り込む定番パターンがあるとともに、人数が厚くなった中央を素早いパス交換で崩すこともある。左サイドの三笘だけでなく、右サイドで出場を重ねている新加入のジョルジニオ・ラターもこうした動きができてゴールにからんでいる。ブライトンの攻撃はバリエーションがあり、ゆえに上位をキープできている。
ただ、どこのチームもそうだが相手に守備組織をセットされてしまうと崩すことに苦戦している。15節を終えて6分け、とくに最近3試合は2分1敗となっており、勝点を伸ばせていない。この辺りに4位以内を確保する課題がありそうである。
気になるのは、6試合の引分けのうち2試合が2-0から追いつかれていることだ。ブライトンは“閉じて”試合を終わらせるのではなく、追加点を狙ってアグレッシブに戦う傾向にある。そのため時間の経過とともに守備に綻びが生まれ、したたかなプレミアの各チームに隙を突かれて失点し、勝点を失っている。
2点リードから追いつかれたのは9節ウルブズ、15節レスターの2試合で、いずれも下位チームに食い下がられたカタチだった。失点も80分以降と試合の終わらせかたが拙かった。現状、攻め倒すことはできていない。13節には最下位サウサンプトンにも1-1で引き分けている。ブライトンが4位以内に食い込むためには、上位との直接対決をモノにしつつ、こうした下位との対戦でしっかりと勝点を稼ぐ試合運びのうまさが必要になってくる。