ポステコグルーの失敗はアジアの指導者全体の評価ダウンに繋がる? アジア杯制覇、J1制覇の手腕を世界はどう見る

トッテナムを指揮するポステコグルー photo/Getty Images

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トッテナムは現在15位に沈んでいる

ヨーロッパリーグやEFL杯といったカップ戦では結果が出ているトッテナムだが、プレミアリーグの方では現在15位に沈んでいる。立場が怪しくなっているのは、チームを指揮するオーストラリア人監督のアンジェ・ポステコグルーだ。

ポステコグルーにとって今季はトッテナムでの2年目だが、トッテナムでの仕事はかなり大きなチャレンジのはずだ。これまでオーストラリア代表でのアジアカップ制覇、横浜F・マリノスでのJ1制覇、セルティックでの複数タイトル獲得など結果を出してきたポステコグルーの手腕は5大リーグでも通用するのか。トッテナムでの仕事は、それが試される場なのだ。

やや大袈裟かもしれないが、英『The Guardian』はポステコグルーの失敗は欧州&南米を除く他地域の指導者にも大きな影響を与えかねないと取り上げている。
「ポステコグルーがトッテナムで成功できれば、オーストラリア人監督の欧州行きが少しスムーズになるかもしれない。日本、オーストラリア、中国でもタイトルを獲得したオーストラリア人監督ケヴィン・マスカットはその再有力候補と言えるが、そのシナリオはもう手遅れなのかもしれない」

ポステコグルーは独特な哲学を持つタイプの指揮官で、横浜F・マリノスやセルティックでも自身のスタイルを貫いてきた。トッテナムでもそれは同じで、最終ラインをかなり高く設定したサッカーを展開している。しかし、開幕前から2年目に強いと主張していたポステコグルーのチームは現在プレミア15位に沈んでいる。

カタールのアル・ドゥハイルやモロッコのウィダード・カサブランカでチームをタイトルに導き、2022年のワールドカップ・カタール大会ではモロッコ代表を指揮してベスト4にまで勝ち進んだワリド・レグラギは、監督業界の縮図について次のようにコメントしていた。

「マンチェスター・シティやバルセロナがアフリカ人、アラブ人の監督を招聘するなんてあり得ないと思う。彼らはそうした可能性について考えることをしないんだ。我々に価値がない、サッカーについて無知だといったようにね」

ワールドカップの結果が示すように、サッカー界をリードしてきたのは欧州と南米のチームだ。自然とその地域の指導者の方が優れているとの評価になり、アジアやアフリカの指導者は実力を低く見られがちなところがある。

そうした意味ではポステコグルーのトッテナム指揮官就任は流れを変える一手になる可能性があったが、現状の評価は厳しい。同メディアはオーストラリア代表や横浜F・マリノスでのタイトル獲得の実績が色褪せることはないとしながらも、地域全体の評価ダウンに繋がる可能性はあると見ている。

近年はアジアの選手が欧州トップリーグで活躍するケースは増えているが、指導者はまだまだ増えない。もちろん言葉の壁やライセンス制度の問題もあるが、ポステコグルーの仕事を見た欧州トップリーグがアジア地域の指導者をどう評価してくるかは気になるところだ。

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