スペイン代表ククレジャが自閉症の息子と向き合う課題と幸福 「一緒に達成する小さなことの1つ1つが、より大きな幸せを与えてくれる」

チェルシーで活躍するククレジャ photo/Getty images

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チェルシーへの移籍が大きな転機に

EURO2024のスペイン代表優勝において欠かせない存在だったマルク・ククレジャは今季、チェルシーでも不動の左SBとして活躍してきた。現在26歳のククレジャはパートナーのクラウディア・ロドリゲスさんと3人の子供たちとのロンドンでの生活について『YouTube』チャンネルの「La media inglesa」で語っている。

バルセロナの下部組織で育った中で、「ガールフレンドと遊ぶことよりも早く家庭を持ちたかった」というククレジャが2019年のヘタフェに所属していたころに、第一子となるマテオくんが生まれた。

当時20歳だったククレジャにとって自閉症をもって生まれてきたマテオくんの存在が自身に父親として多くの課題や幸福について考えるきっかけとなったという。
「一度、二人で話し合って『僕たちは疲れ果てても眠ることもできずにいるが、ここにいるからには何としてでも、一晩眠ろう』と言ったことがある。実際、(育児の疲れで)混乱状態だったけど、それでも僕たちはたくさんのエネルギーを注いできた」

「彼(マテオくん)は周囲に馴染むことが難しく、いつも泣いていたんだ。僕たちも彼を理解することが上手くできず、どうすればいいのか分からなかった」

「本当に難しいことだ。結局、(本当の意味で)父親や母親になる方法を誰も教えてはくれない。僕たちが自分で考えて動くしかないんだ。特に彼のような自閉症の子は他の兄弟のように物事を理解して考えることに対して困難を抱えているからね」

「僕たちがイングランドに来た時、彼は普通の学校に通っていたが、上手く周囲に馴染むことが出来ず、いつも落ち込んでいた。その時、彼は小さかったけれど幸せを感じることが出来ていなかったし、そのことが大きな影響を与えてしまっていた」

「ブライトンのときは長男もまだ小さかったこともあって彼の抱えている問題について何も分からず、医者は僕たちがどうする必要があるのか教えてはくれなかった」

その中で2022年にロンドンのチェルシーへ移籍したことが家族にとって大きな転機になったという。

「ロンドンで別の学校を見つけたことで僕たち家族は大きく改善することが出来たんだ。ここでは、僕たちを助けてくれる人たちがいて、話し合える人たちがいて、彼との接し方を学ぶことが出来る。そして彼自身もまた自分のことを理解できるようになった。それでもまだ、彼を知るための努力は必要だけれどね」

「難しいこともたくさんある。それでも、彼と一緒に達成する小さなことの1つ1つが、より大きな幸せを与えてくれるんだ」

現在はパートナーと共に3人に増えた子供たちと暮らすククレジャは「大変なこともたくさんあるけれど、僕たちはもう大丈夫だよ」と締めくくった。

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