昨夏の移籍市場でレアル・マドリードはキリアン・ムバッペとエンドリッキの獲得、アトレティコ・マドリードは総額2億ユーロ以上の大補強に成功した。一方でバルセロナは財政難の問題からダニ・オルモとボイチェフ・シュチェスニーの獲得に留まっており、無冠に終わった昨季から大きく戦力補強に動くことが出来なかった。それでも、今季のラ・リーガは第25節終了時点で勝ち点1差以内でこの3チームが首位を争っており、3つ巴の戦いとなっている。
昨季のバルセロナとの大きな違いは、昨年台頭したラミン・ヤマル、パウ・クバルシといったラ・マシア出身選手たちが更なる成長を遂げていることに加えて、やはり、新監督に就任したハンジ・フリック監督の存在が大きいだろう。フリックが構築したハイライン戦術は今季の試合残り15分で13失点を許しており、まだまだ課題の残るところではあるが、レアル・マドリードと対戦した2試合で4得点以上を記録するなど爆発的な攻撃力を秘めている。
2031年までの契約延長が発表されたロナルド・アラウホは『SPORT』のインタビューで、フリック監督が新監督に就任した当初、「気をつけろ、ドイツ人の軍曹が来るぞ」と警戒されていたことを笑いながら明かし、今では良好な関係を築いていることを語った。
「最初は(チームへ)疑念があったのは当然だ。昨季は望んでいたような結果を残せなかったし、我々のクラブは勝利を求め、タイトルを求め続けるからね。そして、それを達成できなければ、それは悪いシーズンだったとみなされる。ハンジの就任には大きな注目が集まった。なぜなら、チームの選手は昨年とそれほど変わっていないからだ。しかし、彼が望み、実行したことは確実に反映されていると思う。チームの雰囲気が変わった。すべてが少しずつ変わったんだ。監督だけでなく、クラブの一般的な仕事のやり方も変わった。僕らはうまくやっているが、まだ先は長いし、これからも努力を続けなければならない」
「(フリックがバルサにおけるチームリーダーなのかという問いに対して)自分はそう思う。最終的には彼が監督であり、すべてを動かす存在であり、変化をもたらし、彼が持ち込んだ哲学を創り出した。しかし、クラブでは多くのことが変化し、このような結果をもたらしたと言える。フィジカル面、理学療法士についてだ。我々にとって、ほぼ全ての選手が戦える状態であることは重要なこと。なぜなら、チーム内で競争のあるチームだからだ。素晴らしい仕事が成し遂げられ、それが示されていると思う。チームの運営状況を見て、深刻な怪我を2人出したことを除いてはある程度健康を維持できている。タイトルを獲得するにはこれこそが重要だ」
「彼はとても良い人で、いつも誰とでも話している。最初は”気をつけろ、ドイツ人の軍曹が来るぞ”と言われていたけどね(笑)、今は誰もそう思ってはいない。彼は(クラブの人間と)とても仲が良い。仕事の時間は仕事の時間であり、真剣にならなければならないというだけだ」