プレミアリーグ第27節でイプスウィッチに勝利したものの、依然として14位と下位に低迷するマンチェスター・ユナイテッド。シーズン途中に指揮官をエリック・テン・ハーグからルベン・アモリムに変えたことで問題の解消を図ったが、解消どころかむしろ問題は拡大していると英『Daily Mail』は伝えている。
現在のユナイテッドには問題が山積みで、それらが改善の兆しを見せていないことがさらなる問題となっている。まずは負傷者の問題だ。シーズン開始前から新加入のレニー・ヨロが離脱。チームのアタッカー陣で唯一の輝きを放っていたと言ってよかったアマド・ディアロは今季絶望。ルーク・ショーやメイソン・マウントもピッチに戻れない。
負傷者が問題となっているという点に関しては他の多くのチームがそうだが、ユナイテッドの問題はこれだけではない。新監督アモリムのトレードマークである[3-4-3]が機能していないこともその1つ。ユナイテッドは伝統的に4バックで戦うことが多かったため“らしくない”とも感じるが、それ以上に保有選手とミスマッチなのではとの意見も多い。ウイングバックに適した選手が少なく、今季加入のヌサイル・マズラウィやマタイス・デ・リフトは4バック向きに思える。しかし、今のところアモリムに考えを曲げる兆候は見当たらない。
ストライカーはゴールを決めることができない。ラスムス・ホイルンドは今季リーグ戦2ゴール、ジョシュア・ザークツィーは3ゴール。『FBREF』によれば、ホイルンドもザークツィーも今季リーグ戦を通して枠内シュートを8本ずつしか打っておらず、これではゴールが増えないのも道理だ。彼らのプレイに問題があるのか、システムに問題があるのか。おそらくその両方だろう。
結果が出ないからなのか、チームの和にも綻びが出た。マーカス・ラッシュフォードは移籍をほのめかすようなインタビューでの発言ののち出場機会をなくし、結局アストン・ヴィラへローンとなった。イプスウィッチ戦での振る舞いを見るかぎり、アレハンドロ・ガルナチョも不満を溜め込んでいるようだ。
そして最大の問題は財政面だ。ジム・ラトクリフ氏は大規模な人員削減を継続する意向のようだが、選手の高い給与にも問題がある。出場機会を減少させつつあるチーム最高給のMFカゼミロは週給37万5000ポンド、ローンとなったラッシュフォードは32万5000ポンド。同じくベティスへのローンとなったアントニーは20万ポンド。高給と貢献度が釣り合っておらず、かといって落ち目の選手の売却も簡単ではない。そして選手を放出できなければ、来季の補強もままならないという大きなジレンマに陥っている。
まだカップ戦が残っているものの、順位を考えると来季の欧州コンペティションへの出場も絶望的。つまりまた収入が減ることになる。完全に負のスパイラルに落ち込んでしまっているユナイテッド。アモリム就任後に14戦8敗とまったく成績は上向かないが、まずはピッチでの結果を出さないことにはここから抜け出せそうにない。