“翼を授かった”RB大宮の「快進撃」が本当に始まった 開幕3連勝でJ2首位に

RB大宮は今季のJ2の台風の目となりつつある Photo/Getty Images

難敵を次々と撃破

「さぁ、始めようか。快進撃を。」

今季からレッドブルグループ傘下となり、新体制となったRB大宮アルディージャは、そんなスローガンのもと今季をスタートした。開幕戦ではレッドブル グローバル部門責任者となったユルゲン・クロップ氏がNACK5スタジアムを訪れ、その話題が先行した感もあった。しかし明治安田J2リーグが第3節まで終了した現在、順位表で首位にいるのはまぎれもないRB大宮。開幕3連勝で「快進撃」が本当に始まっており、話題性だけのチームではないということをJファンにまざまざと見せつける結果となっている。

レッドブル傘下になり外資が入ったとはいえ、大金で有名選手を買い漁るようなマネはしていない。あくまでもベースにあるのは、昨季まで積み上げたものだ。インテンシティ高く、個々がしっかりと戦うサッカー。華麗ではなく、あくまで泥臭く勝利を掴み取りにいくサッカーだ。開幕戦の山形戦は1-1からアディショナルタイムで決勝点をもぎ取り、続く第2節の甲府戦は相手の攻めにさらされるなか、前半に挙げた1点を守り切った。4得点を挙げた今節の熊本戦も、ボールを握っていたのは熊本。攻めをいなしながら、急所を突くように得点を重ねていった結果の大差だった。

J3から昇格したとはいえ、昨季終盤は勝ち星をなかなか挙げられず苦労した。それがステージを上げての連勝劇。現在スタメンで出ている選手のうち新加入組はDFガブリエウとFW豊川雄太のみとそれほどメンバーが変わったわけではないが、明らかにチームは勢いを増しており、まさに“翼を授かった”という印象がある。

勢いを象徴するのはFW藤井一志だ。開幕戦でファビアン・ゴンザレスが負傷したことにより出番が回ってきた42番は、その背番号の通り「42(しに)もの狂い」でボールを追い回す。長澤徹監督いわく「犠牲と献身性の人間」だが、今季は3戦ですでに4ゴール。15ゴールが目標だというが、このペースなら本当にやってのけるかもしれない。

圧倒的にボールを保持して戦うチームではないが、局面・局面での強さがチームに勢いを与えている。新加入でいきなりキャプテンを任されたDFガブリエウはまさに最終ラインの砦で、ストッパーとしての役割だけでなく、素早いフィードからチャンスも作り出す。中盤はMFアルトゥール・シルバが高さと強靭さで制圧し、守備の局面ではFW杉本健勇もやや下がって中盤に高さを作り出し、ボールを回収できる。奪ったボールは素早く展開され、左の泉柊椰のドリブル突破、右の茂木力也の正確なクロスがチャンスを演出。前線では藤井のほか、闘志むき出しでボールにチャレンジする豊川が積極的に絡んでくる。

第3節で初ゴールを記録したFWカプリーニという隠し球もあり、昇格組とはいえ層の厚さは他のJ2クラブを凌いでいるかもしれない。ここにU-20日本代表に合流していたDF市原吏音が帰ってくれば、という期待もある。

サポーターの間では早くもJ1昇格に向けて期待が高まっているかもしれないが、長澤監督はおそらく「1戦1戦大事に戦っていくだけ」と言うに違いない。そんな堅実さこそが強さに繋がっているRB大宮。最高のスタートダッシュを切ったが、快進撃はどこまで続くだろうか。





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