ユーリ阿久井、激闘を演じるも最終ラウンド力尽きる…… 勝った寺地は、日本人史上2人目の快挙達成

ユーリ阿久井は王者としての意地を魅せるも敗戦 photo/Getty Images

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11回までのスコアはユーリが優勢だった

WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟がWBC同級王者・寺地拳四朗との統一戦に臨み、12回1分31秒でTKO負けを喫した。ユーリは3度目の防衛に失敗し、WBAのベルトを失った。

戦前、寺地はユーリに圧倒して勝利すると豪語。「相手の癖を見抜いた」とまで語り、2階級統一王者となることに大きな自信を持っていた。

ところが試合が始まると、寺地はユーリの強打とテンポの速さに苦戦。手数の多い寺地の長所が打ち消される形で試合の序盤がユーリの優勢で進んだ。
ユーリは、寺地のパンチが見えていた。巧みに交わし、間髪入れずワンツーを見舞う。何度も寺地の顔を跳ね上げ、ボディにも叩き込んだ。それでも寺地も流石のボクシング技術で対抗する。相手に長所を消されながらもコツコツとパンチを当て続け、中盤以降は徐々に勢いも増していく。ただユーリも決して寺地の勢いに押されるわけではなく、どちらにポイントが入るか判別不能なほど拮抗した戦いを演じる。

そんな中、ユーリにダメージの前兆と見られる顔面の紅潮が9回終了後から見られるようになる。それでも両者とも撃たれては打ち返す王者のプライドを見せつけるような激戦を11回まで繰り広げていく。

すると最終回は誰も予想だにしない衝撃の幕切れとなった。開始30秒ほどが過ぎたところで寺地のパンチを顔面に受けたユーリの足が止まる。チャンスと見るや俄然勢いを出した寺地に対し、ユーリはクリンチに逃げる。一旦持ち直したかに思たが、寺地の連打は凄まじく、ここにきて精密機械のようにパンチをユーリの顔面に当て続ける。そして最後も寺地が猛攻。パンチの被弾の勢いでユーリの上体がぐらついた瞬間、レフェリーが割って入り試合が終了した。寺地は苦戦しつつも勝利に安堵の笑顔を漏らし、ユーリはリングに臥して涙を流した。

寺地は宣言通りの圧倒勝利とはいかなかったが、「チームのサポートがなければ心が折れていた」とセコンド陣に感謝した。これで井上尚弥以来、日本人では史上2人目の2階級統一王者となった。

負けたユーリは、試合後の記者会見に出席し、「100%に近い力をぶつけることができれば勝算があると思ったが、最後まで力をもたすことは難しく上回られた」と敗因を語ると、今後については「ゆっくりしてから考えたい」と述べるにとどまった。

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