永田はポルトガルで成長中 佐野、後藤はA代表を期待
アンデルレヒトの後藤は身長190センチ超えのサイズが魅力 photo/Getty Images
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隔世の感がありますが、ホントに多くの選手が海外でプレイしています。どうしても欧州のクラブに目線はいきますが、南米でも多くの日本人選手がプレイしています。そこで今回は、個人的に注目する海外で活躍中の“ヤング・サムライ”を紹介します。
永田滉太朗は横浜FCからオリヴェイレンセ(ポルトガル2部)に期限付き移籍中の19歳で、今季加入2年目を迎えています。ユース時代からチェックしていた小柄なドリブラーですが、向こうに行って身体が大きくなっています。16節マリティモ戦で初ゴール、18節ペナフィエル戦で2点目を決めており、いよいよ来るか! という印象を受けています。
オリヴェイレンセは[4-3-3]で戦っていて、おもにインサイドハーフでプレイしています。左利きでボールタッチが細かく、狭いところを打開できる高い技術力があります。ポルトガルで経験を積むことで確実に逞しくなっています。横浜FCに戻って中心選手となるのか、そのまま残ってステップアップするのか。まだ10代の逸材である永田滉太朗には、いろいろな選択肢があります。
マインツ(ドイツ)の佐野海舟に関しては、日本代表への復帰を期待しています。加入1年目で不動のボランチとなり、開幕戦からスタメン出場を続けています。ブンデスリーガでもまったく物怖じせず、力強くボールを奪い、前に出ていく推進力を発揮しています。
戦術理解度も高く、次のプレイを予測し、反応する速度も増しています。いまの状況を考えれば、ビッグチームへの移籍も十分にあり得ます。繰り返しになりますが、佐野海舟にはそろそろ日本代表に復帰してほしいです。
後藤啓介も磐田のユースでプレイするころからチェックしていましたが、アンデルレヒト(ベルギー)のセカンドチームからスタートし、きっちりと結果を出して今季途中にトップチームへ昇格しました。すると、高さと柔らかさがあり、強心臓の持ち主で度胸もある19歳のストライカーはすぐに結果を出してくれました。
ジュピラー・プロ・リーグの23節メヘレン戦でさっそく初ゴールすると、続くヨーロッパリーグ(EL)のホッフェンハイム戦でも得点しています。後藤啓介はロサンゼルス五輪世代であり、世代別代表での活躍も楽しみです。身長190センチを超える規格外のサイズがあり、将来的には日本代表へという期待もあります。今後、ステップアップとなる移籍をするだろう選手です。
オランダへ引き抜かれた塩貝 升掛、髙橋、貴田は南米で奮闘
塩貝は面構えが良く、ゴールへの執念がある photo/Getty Images
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塩貝健人もロサンゼルス五輪世代のストライカーで、23年6月にフランスで開催された第49回モーリスレベロトーナメントにU-19代表として出場し、スカウト勢の目に留まってNECナイメーヘン(オランダ)に引き抜かれました。両足+ヘディングでも決められるゴールのバリエーションが豊富なストライカーで、底が知れないポテンシャルを感じます。
良い意味で面構えが良く、ゴールへの執着心があります。エールディヴィジでは直近のゴー・アヘッド・イーグルス戦でも得点しています。大胆さだけではなく、器用な面もあってまわりを生かすなどいろいろなことができます。
ここからは南米でプレイする選手となります。
ブラジルでは升掛友護がマリンガ、髙橋隆大がグアラニでそれぞれ経験を重ねています。両者ともにJリーグでは苦労しました。しかし、升掛友護が21歳、髙橋隆大が20歳とまだまだ若いです。ここから巻き返すところをみたいです。
升掛友護は活動量があって中盤でハードワークできるタイプで、うまさもあります。柏ではユースから昇格してルヴァン杯で得点もしていましたが、その後に苦労して愛媛を経てマリンガへ完全移籍しました。
現在、古巣である柏はリカルド・ロドリゲス監督のもと3バックで戦っています。ウイングバックやインサイドハーフをできる器用さもあるので、帰国したなら……という未来も考えられます。もちろん、ブラジルで高評価を得て、そのまま欧州へというコースもあり得ます。升掛友護にはいろいろなルートがあると言っていいでしょう。
髙橋隆大も同じです。G大阪のジュニアユースから静岡学園に進学したテクニシャンで、高校卒業後にG大阪→奈良クラブ→北九州でプレイしましたが、結果を残すことができませんでした。しかし、両足を使えるし、狭い局面でもボールを運べます。相手が嫌がるプレイができる選手で、ドリブルでPKを獲得できます。静岡学園からブラジルというと、カズさんが思い出されます。髙橋隆大にもここから這い上がってほしいです。
貴田遼河は世代別代表の常連で、名古屋からの期限付き移籍でアルヘンティノス・ジュニオルス(アルゼンチン)のリザーブチームでプレイしています。万能型で両足をしっかりと振れるタイプで、いろいろなことができます。戦える選手であり、守備での献身性もあります。
最初の移籍期間は24年12月31日まででしたが、すでに1年間延長されています。貴田遼河がアルゼンチンでどれだけ結果を出せるか、要注目しています。
構成/飯塚 健司
※電子マガジンtheWORLD303号、3月15日配信の記事より転載