「サッカー大国になるとの中国の野望は崩れ去った」 なぜか強くなれない中国代表にとって遠すぎるW杯の舞台

今月オーストラリアに敗れて意気消沈の中国代表 photo/Getty Images

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最終予選グループCの最下位に沈む

今月のサウジアラビア戦(0-1)、オーストラリア戦(0-2)で連敗を喫した中国代表は、現在2026ワールドカップ・アジア最終予選のグループC最下位に沈んでいる。すでに自力でのワールドカップ出場権獲得は消滅し、残る希望は4位以内に滑り込んでのプレイオフラウンド進出だ。まだ希望が消えたわけではないとはいえ、失望は大きいだろう。

この結果に『BBC』は「サッカー大国になるとの中国の野望は崩れ去った」とまとめている。

2010年代は中国スーパーリーグの強化もあり、中国代表も強くなるのではとの期待感があった。しかし今やスーパーリーグの盛り上がりは消え、代表チームも特に強くなっていない。
同メディアは中国の力がよく分かるゲームとして、このアジア最終予選の初戦となった日本代表戦を上げている。埼玉スタジアム2002で行われたこの一戦で日本は7-0のスコアで中国を撃破している。後半アディショナルタイムに久保建英が7点目を決めたわけだが、同メディアは久保が最後まで容赦なかったと振り返る。

「埼玉の夜、中国代表は最悪の状況だった。試合終了まで残り1分、日本に0-6で負けている状況ということもあり、中国の選手たちは早く試合終了のホイッスルを聞きたかっただろう。しかし、久保が容赦なかった。日本のメッシとして知られる久保はネットを突き刺し、中国にワールドカップ予選史上最悪の敗北を与えたのだ」

しかもその1週間ほど後には、中国サッカー界で汚職や賭博を巡る問題が発覚し、選手38人とサッカー関係者5人が永久追放処分を受けている。ピッチ内外で中国サッカーはボロボロとなったのだ。

世界最大の人口、繁栄してきた経済など、強くなる要素は揃っているように思えるが、北京在住のマーク・ドレイアー記者は中国サッカーのシステムがよくないとの見解を示している。

「中国政府が本気で何かに取り組めば、大抵のことは上手くいく。電気自動車、五輪の開催などもそうだ。思いつく限りの分野で中国はトップクラスだ。ただ、全てを共産党幹部がコントロールしている。つまり、サッカーの知識を持たない者がサッカーに関する決定を下すことになるのだ。サッカーは、草の根主導であるべきだ。ピラミッドの底辺から育成が始まり、才能が頂点へと集まっていく。それにここの子どもたちは足下にボールを置いて育つわけでもない。そうした環境がないと優秀な選手は生まれない」

外国籍選手を帰化させるなどあらゆる強化策を試みてきたが、今回の最終予選でも成果には繋がっていない。むしろアジアカップ2023で示されたように、ヨルダンやウズベキスタンといったアジアの他勢力が力をつけている。2026ワールドカップから出場枠が拡大したとはいえ、中国よりも強くなっているチームが数多くあるのが現状だ。

中国がワールドカップに出場したのは2002年の日韓大会のことだが、今回も厳しいか。

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