ジョゼップ・グアルディオラがバルセロナで魅惑のポゼッションサッカーを完成させてから17年ほどだろうか。今季グアルディオラ率いるマンチェスター・シティは苦戦が続いているが、時代が変わりつつあるのは間違いない。
英『Independent』は、今季のプレミアリーグではむしろ『ポゼッションしているチームの方が危険』な状態にあると特集している。高いポゼッション率を維持しても、試合をコントロールしているとはならないのだ。
今季躍進しているノッティンガム・フォレスト、ボーンマスは特長的だ。ノッティンガム・フォレストはリーグ順位は3位だが、平均ポゼッション率はリーグ最下位となる39.5%だ。
ボーンマスも平均ポゼッション率はリーグ15位の47%に留まっており、彼らはポゼッションにこだわっていない。相手にボールを持たせたところからカウンターアタックへと上手く繋いでいる。同メディアもプレッシング、カウンター精度が飛躍的に上がっていると取り上げる。
「今季のプレミアでは、ボールを持っていないチームこそが試合をコントロールしていると言える。ノッティンガム・フォレストの素早いカウンター、軍隊のように動くボーンマスのハイプレス、一方で崩れているマンチェスター・シティのパスゲーム。カウンターは昔からある戦略だが、現在の発展は目覚ましいものがある。プレッシングはこれまで以上に組織化され、膨大な数の相手のミスを引き出している。昨季のプレミアではシュートに繋がるミスが329回あったが、今季はすでに482回も記録されており、最終的には昨季の2倍に達する見込みだ。Optaのデータでは、いわゆるハイターンオーバー(ゴールから40m以内で始まる速攻)が増加している。その威力は強烈で、アウェイチームの方が躍進し、ホームアドバンテージが消滅したとの見方まであるほどだ」
「このトレンドは一時的なものかもしれない。グアルディオラは信念を捨てるつもりはないと語っており、来季はシティが再び上向くかもしれない。主力のコンディションさえ良ければ、ポステコグルー率いるトッテナムも強くなるかもしれない。自然発生するサッカーの進化の過程で、フォレストのような戦い方は打ち消されるかもしれない。しかし、プレミアに変化の風が吹いているのは間違いない。ボールを保持することがこれほど危険だったことなど滅多にないからだ」
サッカー界にはトレンドがあり、グアルディオラがバルセロナで黄金期を築いた際にはポゼッションサッカーが注目を集めた。その進化版、あるいは打ち破るためのカウンター戦術が発明され、トレンドは再び変わってきている。最近ではGKから攻撃を組み立てようとするチームも目立つが、逆にそれは危険なのかもしれない。