今のオランダ代表は最終ラインに優秀な選手を多数抱えており、ビッグクラブでプレイする選手も多い。特にセンターバックは激戦区であり、今のオランダ代表でスタメンを勝ち取るのは難しい。
しかもオランダではリヴァプールDFフィルジル・ファン・ダイクが絶対的リーダーとなっているため、4バックの場合残る椅子は1つしかない。それをインテルDFステファン・デ・フライ、マンチェスター・ユナイテッドDFマタイス・デ・リフト、マンチェスター・シティDFネイサン・アケらが争うことになる。
そんな中、今月のUEFAネーションズリーグ準々決勝スペイン戦の2連戦でファン・ダイクの相棒を任されたのが、ブライトンDFヤン・ポール・ファン・ヘッケである。
代表に負傷者が出ていたことも影響しているが、昨年に代表デビューを飾った24歳のファン・ヘッケも実力者だ。決してエリート街道を歩んできたタイプとは言えないが、2020年にオランダのNACブレダからブライトンに僅か200万ユーロで移籍し、そこから着実に力をつけてきた。
当時NACブレダがオランダ2部でプレイしていたことを考えると、ブライトンの目利きは見事だ。ファン・ヘッケはそこからオランダのヘーレンフェーン、イングランド2部のブラックバーンとレンタル移籍で経験を積み、今ではブライトンの主力DFとなった。3年前に500万ユーロしかなかった市場価値は、今や3200万ユーロにまでアップしている。
英『Independent』によると、ファン・ヘッケはブライトンのプランに確信があったと振り返っている。結果的にブライトンではロベルト・デ・ゼルビのように独特な哲学を持つ指揮官とも出会うことになり、足下の技術も磨かれた。来年のワールドカップへファン・ダイクの相棒になっても不思議はない。
「(当時)他のクラブとも話をしたんだけど、他クラブの計画には納得できなかった。でもブライトンは本当に良いと感じて、計画に納得したんだ。当時はまだ若くて、いきなりトップチームでプレイするのは現実的ではなかった。まずはプレミアリーグで戦うために自分を鍛える必要があった。ブライトン側は『計画はあるが、上手くいく保証はない。君にはプレミアリーグの選手になるポテンシャルはあると思う』と言われ、少しリスクがあるようにも感じたけど、結局は上手くいった」
代表でファン・ダイクとコンビを組むことについては、「彼が相手FWとデュエルに挑めば、ほぼ彼が勝つことが分かっているからね。彼の隣でプレイするのはちょっとばかり楽だよ」と冗談交じりに語っている。確かに味方としてファン・ダイクほど頼もしいセンターバックもいないだろう。
ファン・ヘッケは今後もオランダ代表の常連になっていく可能性があり、今後のビッグクラブへのステップアップもあり得る。2020年にブライトン行きを選んだのは大正解だったと言えそうだ。