出揃ったCL4強、インテルこそが最大の優勝候補か 「伝統と革新」同居するスタイルはもっとも恐ろしい

インザーギ監督のスタイルは他の3クラブとは異質 Photo/Getty Images

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インテルだけが異質だ

UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝では、インテルが合計4-3でバイエルンを、アーセナルが合計5-1でレアル・マドリードを倒し、いよいよ4強が出揃った。この結果、バルセロナがインテルと、パリ・サンジェルマンがアーセナルと対戦することになったが、果たして優勝はどのクラブなのだろうか。

4強のプレイスタイルを見ると、バルセロナ、アーセナル、PSGは大まかにいえば似ている。ハイラインを保ち、コンパクトな陣形でボールを保持しながら攻めるスタイルは、いかにもモダンサッカーのアプローチという感じだ。対して、インテルだけが異質。一見すると守備→カウンターという、いかにもイタリア的でオールドスクールなアプローチに見える。出揃った4強のなかで、インテルをアンダードッグと見なす向きもあるだろう。

しかしバイエルンを見事に破ったように、前に出てくる相手と対峙するのはインテルの得意とするところだ。残った他の3チームがすべてポゼッション型のアプローチをとるチームであることを考えると、インテルは自分たちのペースに引き込んで戦うことができ、これがチームに思わぬアドバンテージをもたらすかもしれない。
また、一見オールドスクールなインテルだが、その戦い方には革新性が潜んでいる。『The Athletic』は、実はもっとも進歩的なのはインテルかもしれないと分析している。インテルは3バックを基本とするが、3人のセンターバックはそれぞれ独特の方法で攻撃参加する。ワイドのCBはピッチの高い位置までボールを運ぶことがあり、その場合はMFの1人が下がって守備を担当する。それ自体は特段珍しい攻め方ではないが、インテルの場合はボールを持っていないサイドのCBが同じ動きをすることがあり、ピッチ幅いっぱいに両CBが広がり、完全に分離することがあるという。

また、中央のCBであるフランチェスコ・アチェルビはしばしばオフザボールでピッチを縦断する動きを見せており、バイエルン戦でもマークについたトーマス・ミュラーを混乱させていた。このような戦い方は伝統的な3バック(5バック)システムのセオリーではなく、シモーネ・インザーギ監督はこれらの特異なアプローチによって相手のマークに混乱を引き起こしてくる。修正能力も高く、決してガチガチに固めてカウンターを撃ってくるだけのチームではない。

他の3クラブのような爆発的な得点力こそないが、サッカーは得点の多さ自体を競うわけではない。相手よりも1点上回っていればよく、インテルに1点でもリードを許せば、相手はきわめて不利に立たされることはバイエルン戦でも証明済みだ。

次戦で対戦するバルセロナは、おそらく嫌な相手が上がってきたと感じているだろう。一見古めかしいスタイルのインテルこそが、今大会最大の優勝候補なのかもしれない。



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